コーヒーには、スッキリなものや、濃厚なもの、豆の産地など様々なものがありますよね。
今回は、バリスタ経験のある私Canoa coffeeが『エスプレッソ』について深堀してご紹介いたします。
「他のコーヒーと何が違うの?」
「エスプレッソの飲み方って?」
と気になる方へ、基礎的な知識から、エスプレッソの楽しみ方まで幅広くご紹介いたします。
そもそもエスプレッソとは?

そもそもエスプレッソとは、『高い圧力をかけて短時間でコーヒーを抽出するコーヒーのこと』です。
高い圧力で淹れるために、エスプレッソマシンという機械が使われるのが一般的です。
味は、少量ですが濃厚で、豆本来のうまみやコクがダイレクトに味わえます。
エスプレッソは、イタリア・ミラノで発明されたコーヒーで、現在ではスペシャリティコーヒーの流行によって、オーストラリアやアジア、アメリカなど、全世界で人気となっています。
現地での飲み方については、後半にご紹介しますね。
名前の由来は、短時間で抽出することから、「エクスプレス」→「エスプレッソ」と呼ばれるようになり、『飲む人のためだけに作られた1杯』という意味が込められています。
実は、エスプレッソに含まれるカフェインは、他のコーヒーに比べて少ないのです。
「あれだけ濃厚なのに!?」と思われるかもしれませんが、カフェインが多くなる理由は、抽出時間が大きく関わってきます。
ゆっくりじっくり淹れるドリップコーヒーの方が、カフェインが多く抽出され、
逆に素早く抽出するエスプレッソは、カフェインはそれほど多くないのです。
ただエスプレッソ(25ml)をドリップコーヒーの量(150ml)ほど飲めば、それはカフェインが多くなりすぎるので注意してください。カフェインが0ではありませんので。
エスプレッソと普通のコーヒーのどこが違うか?

ここで言う普通のコーヒーを「ドリップコーヒー」とします。
エスプレッソとの大きな違いは、抽出方法の違いです。
マシンで高圧力をかけ短時間で抽出するエスプレッソに対し、
ドリッパーやフィルターを使ってお湯の重みだけで落とし込んで抽出するドリップコーヒー。
この2種類の淹れ方による、味などの違いを見ていきましょう!
エスプレッソ | ドリップコーヒー | |
味 | 濃厚 | さまざま |
抽出量 | 20〜30ml | 120〜150ml |
見た目 | 3層 | 1層 |
味の違い
エスプレッソで使う豆というのは、本来はドリップコーヒーで使う豆よりも、深煎り豆を使うことがほとんどでした。そのうえ、ぎゅっと濃縮して抽出するエスプレッソは『濃厚』な味があります。
スペシャリティコーヒーの流行により、浅煎りの豆もエスプレッソに使うことが広まり、「エスプレッソの豆=深煎り」というセオリーはなくなりつつあります。
ですが、濃縮して抽出するので、味の濃厚さは深煎りも浅煎りも変わらず、エスプレッソで豆本来の味を楽しむ人が増えてきている気がします。
一方で「ドリップコーヒー」は、焙煎度合い、ドリッパーの種類、お湯を注ぐ量・スピードなど、コーヒーを点てる人によって味はさまざまと言えます。
抽出量の違い

エスプレッソでの出来上がりの量は、20〜30mlとなります。
エスプレッソ用のショットグラスで抽出することが多く、1杯に使うエスプレッソの量を『ワンショット』と呼んだりもします。
濃いめのコーヒーが飲みたい時、お店でオーダーする際に、
「エスプレッソダブルください」
「カフェラテをエスプレッソダブルショットでお願いします」
と頼むとちょっとかっこいいですよね。
ちなみにドリップコーヒーの平均的な抽出量は120〜150mlです。
見た目の違い

エスプレッソには3つの層から構成されています。
クレマ:上に浮かぶ泡。きめ細かくゴールドやブラウン色。
ボディ:中層のキャラメル色。口の中でコクや深みが凝縮。
ハート:下の層でダークブラウン色。余韻を残す香りがあります。
この3層が綺麗に出ているエスプレッソは、美しい完璧なエスプレッソなどと呼ばれます。
バリスタと呼ばれる人は、日々この完璧なエスプレッソを目指していくのです。
ドリップコーヒーになくて、エスプレッソの特徴をご紹介しました。
ドリップコーヒーについては、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、気になる方は是非ご覧ください。
おうちでエスプレッソを楽しむ
今回はおうちで本格エスプレッソを楽しむという前提でお話します。
エスプレッソにも、直火式で淹れる方法や、コーヒーメーカーでボタン一つでエスプレッソが飲めるというものもあり、さまざまです。
できるだけ、私が過去にバリスタとして経験してきたものに近い方法をご紹介いたします。
まずは、用意するアイテムをご紹介します。
コーヒー豆
エスプレッソには、よく深煎りのコーヒー豆が使われます。
深煎りの豆とは、色も黒に近い茶色で、味は濃く、苦味も強いものが多いです。
それらの豆をエスプレッソは、短時間で抽出することで、あまり好ましく無い「苦味」や「渋み」まで抽出されないようにすることができます。
豆本来のコクや、旨味を楽しむにはエスプレッソで深煎りの豆がオススメなので、ここではオススメであるわたくしCanoa coffeeの豆を紹介させていただきます。

家庭用エスプレッソマシン
次は、やはり1番大切なエスプレッソマシンです。家庭用としてさまざまなマシンが販売されています。
決して安くないので、選ぶ際はサイズ、デザイン、圧力、抽出数などをチェックして、どれくらいの頻度で飲むのかなどの環境に合わせて、購入を検討してください。
業務用のエスプレッソマシンをコンパクトにしたこちらの電動式タイプのマシン。
業務用の圧力とほぼ同じ圧力を出すことができ、クレマも作れます。
カフェラテやカプチーノを作るために必要な、ミルクスチーマーもあり、より本格的なマシンになっているので、おうちで本格エスプレッソを楽しみたい、始めたい方はオススメです。
マシンに付属して、専用のフィルターなども付いてくるので、コレひとつあればOKです。
グラインダー
『グラインダー』とは、コーヒー豆を粉にする機械のことです。
ドリップコーヒーをご紹介した時には、「コーヒーミル」とご紹介しましたが、エスプレッソ用のコーヒーミルのことはよく『グラインダー』と呼ばれます。
エスプレッソ用のグラインダーを選ぶ際のポイントは、
『極細挽きに対応しているかどうか』
です。
エスプレッソを飲む際は基本的に極細挽きにします。
これは、通常のドリップコーヒー用のコーヒーミルでは、そこまで細かく均一に挽くことができません。
なので、エスプレッソをおうちで楽しむ際には、専用のグラインダーも一緒にご準備いただく必要があります。
では、オススメのエスプレッソ用グラインダーをご紹介します。
エスプレッソ用として、おそらく最安値で購入できるグラインダーです。
挽き目は10段階あり、エスプレッソはもちろん、中挽きまで挽くことができ、ドリップコーヒーにも対応できます。
下のコーヒーの粉を貯めるところの素材がプラスチックのため、静電気によりやや粉が残りやすいですが、ハケなどで払ってあげると問題なく使用可能です。
この辺りの価格帯のグラインダーになると、機能面でかなり充実してきます。
こちらは、挽き目は18段階で、豆の挽く量を設定でき、毎回計る手間がかかりません。
また、他のデロンギのアイテムとの関連性が良く、見た目も合わせてかっこよくディスプレイできます。
先程ご紹介したエスプレッソマシンに付属しているフィルターを、このグラインダーにセットすることができるので、セットでのご購入がオススメです。
アクセサリ類
エスプレッソを淹れるための、その他のアイテムをご紹介します。
タンパーは、グラインダーなどに対応して、デロンギのものをご紹介します。
まず、タンパーとは、コーヒーの粉を押し固めるアイテムです。
なぜこれが必要かというと、フィルター内のコーヒー粉を均一な密度にし、お湯が通過する時にしっかりと旨みを引き出すためです。
このタンパーの直径の大きさが、メーカーによって異なるので、注意して購入してください。
先ほどご紹介しました、デロンギのエスプレッソマシンに付属しているホルダーに対応しているので、セットで購入することをオススメします。
こちらは、ミルクを温める時と注ぐ時に必要になるアイテムです。
カフェラテやカプチーノを飲む際に、ミルクをスチームにかけるのですが、その際に使います。
綺麗な泡を作り出すことが、おいしいカフェラテやカプチーノには重要になってきますので、ぜひこちらも揃えておくと便利です。
その他掃除道具などあると便利なものもありますが、今回は割愛させていただきます。
淹れ方の手順
では、基本的な作り方をみていきましょう。

エスプレッソの味を決めるひとつとして、⑤の「タンピング」があります。
これは、ホルダー内のコーヒー粉の密度を均一にし、お湯が通る際に満遍なく通過して、しっかりコーヒーのうまみを引き出すための工程です。
強さや平行かどうかなど、少しの変化で味が異なるデリケートな工程で、バリスタの人はこのタンピングで味が大きく評価されたりします。
強く固めると、ゆっくりお湯が通り、苦味や渋みがよく出たエスプレッソに、
逆に弱く固めると、お湯が通る時間が短く、酸味が強く出ます。
ちょうどいい好みの強さをやりながら見つけて行ってみてください。
エスプレッソはメニューのバリエーションが豊富
エスプレッソは、ミルクや砂糖など甘いものとの相性が良いので、メニューがたくさんあります。
カフェラテやカプチーノはもちろん、お店でみられるキャラメルフラペチーノなど、季節に合わせて飽きが来ないのが特徴です。
私のバリスタ時代も、オリジナルのメニューを開発したりしていました。
ここで少し代表的なメニューをご紹介します。
カフェラテ

エスプレッソに、スチームしたミルクを注いだものです。
クレマにスチームした泡を乗せてラテアートを描いていきます。
カプチーノ

カプチーノは、カフェラテに入れたスチームミルクをより泡だてたフォームドミルクを加えたものです。
フォームドミルクにすることで、甘く仕上がり、エスプレッソの相性がとてもいいです。
マキアート

マキアートは、カフェラテのミルクの量が少なく、エスプレッソの割合が多いものをマキアートと呼びます。デミタスカップという小さいカップで出されることが一般的です。
イタリア語で「シミを付ける」という意味があり、表面についたミルクがシミに見えることから、名付けられました。
アメリカーノ

アメリカーノは、エスプレッソにお湯を入れたものです。
エスプレッソの苦味や濃さが和らぎ、飲みやすくなります。
出来立ての時は、上にクレマが浮かんでいて、エスプレッソ特有の香りを楽しむこともできます。
本場イタリアでの飲み方

エスプレッソは、「苦い飲み物」というイメージが強いですが、本来イタリアで飲まれているエスプレッソは、砂糖を入れて初めて完成する飲み物と言っても過言ではありません。
現地では、砂糖をスプーン山盛り1杯をいれ、クレマが消えないように静かに混ぜます。
そして、ちびちび飲まず、3〜4口ですーっと飲み干し、後から鼻に抜ける香りや、残る後味を楽しみます。カップの底に残った砂糖は、スプーンですくって食べるのも楽しみのひとつです。
まるで、スイーツを食べるかのように楽しむのが本場イタリア流だと言えるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
最後まで読んでくださった方は、エスプレッソについて、かなり理解が深まったのでは無いでしょうか?
以上をご紹介してきました。
最近は、ドリップコーヒーと、エスプレッソコーヒーを混ぜる、『レッドアイ』と呼ばれるコーヒーも出てきて、まだまだエスプレッソの可能性はすごそうです。